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蕎麦屋のオヤジは考え込んだ
「本日は売り切りました」小さな看板を入り口に立て、
売り切った筈の蕎麦を茹でてくれて「どう?」って
俺の前に出す。
貧しい俺は「最近どこも儲かってないみたいね・・・」
そう言ってから、蕎麦をつまんだが
「どう?」は「最近儲かってまっか?」の類でなく
今日の蕎麦の出来具合を聞いてたんだよなって理解する。
「今日も美味いよ」と
自分で言った言葉を流そうと思ったが、時すでに遅し
オヤジは「う〜ん・・・」考え込んでしまった。
「最近は山へ入る人が増えてしまってなぁ」
話の流れを見失った俺にも、儲かる儲からないの類の
話だなと雰囲気は察した、
「山に来る人増えれば儲かるんでないの」そう聞いた。
どうやら・・・、山に入って山菜を取る人が増えたと、
悩んでいるそうだ。山菜の収量が頭打ちだってことは、
人から山菜を買うつもりがないオヤジには、年間の
山菜収量でお店の売上が決まってしまうそうだ。
確かに山菜が上手にメニューに入っている。
そんなに貴重な山菜なのに、使う事をケチらない
春には山菜採りのために店を休む事が有ると聞いたが、
山菜が沢山なければ、年収が増えないなら仕方ないか?
そう、蕎麦が美味しいお店だ
しかし、出てくる山菜は全てこのオヤジが自分で
採った物だと知ってから、蕎麦同様に山菜が美味い!
そんな貴重な山菜の天婦羅に荒塩をつけながら、
ふとオヤジを見るとまだ考え込んでいる |